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就職率が高い大学の選び方|98%と95%を並べても意味がない理由

就職率が高い大学を探しても、出てくるのはランキングばかりで志望校が載っていない。そもそも数字を信じていいのかも分からない。そんな受験生・保護者に向けて、就職率の読み方と、パンフレットに載らない部分の調べ方を整理しました。

#就職率#就活#大学選び

「就職率が高い大学」で検索すると、有名大学が並ぶランキングばかりが出てきます。

志望校は載っていないし、載っていたとしてもその数字が何を意味するのかは書かれていない。そこで判断が止まっている人は多いと思います。

先に言ってしまうと、就職率という数字だけで大学を比べるのはあまり意味がありません。数字の作り方が大学ごとに違うからです。

何を見れば実態に近づけるのか、順に見ていきます。

「就職率」の数字を正しく読む

大学が公表する就職率は、計算方法によって大きく異なります。

文部科学省は2014年度(平成26年度)以降、「就職率」を「就職希望者に占める就職者の割合」に統一しました。

卒業者全体に占める割合のほうは、「卒業者に占める就職者の割合」という別の指標として区別されています。

ただし大学や民間の調査では今も両方が「就職率」として使われています。

  • 就職希望者に占める就職者の割合:現在の公式な「就職率」の定義。進学・留年希望者などは分母に含まれない
  • 卒業者全体に占める就職者の割合:分母が大きくなるため数値が下がる。大学によってはこちらを「就職率」として公表している場合もある
  • 大学院進学者を除いた場合:理系学部は大学院進学率が高いため要注意。2025年度の大学院進学率は全体平均12.7%だが、理学部44.4%・工学部38.6%・農学部26.8%と理系は突出して高く、文系は平均を大きく下回る

同じ「就職率95%」でも、計算方法が違えば実態は別物です。

ちなみに文部科学省・厚生労働省が発表した令和6年度の調査では、大学生全体の就職率(就職希望者ベース)は98.0%でした。

全体でこの水準ということは、大学ごとの就職率を並べても差はほとんど読み取れない、ということでもあります。

出典: 文部科学省における大学等卒業者の「就職率」の取扱いについて(通知)、令和6年度大学等卒業者の就職状況調査、就職みらい研究所「文系学部卒業者の大学院進学」

専門学校のパンフレットと大学のパンフレットを見比べて「専門学校の方が就職率が高い」と感じたことがあるかもしれません。

この違いがなぜ起きるのかは専門学校はなぜ就職率が高く見える?で詳しく解説しています。

メガバンクや商社への就職者数を並べたランキングも同じで、あの人数は大学の規模とほぼ連動しています。

卒業生数で割り直すと順位がどう変わるかは年収の高い仕事に就くための大学選びにまとめました。

数字より差がつくところ

キャリアセンターが充実している

就活支援の質は大学によって大きく差があります。差が出やすいのは次の4つです。

  • 個別のキャリアカウンセリング
  • OB・OG訪問のコーディネート
  • 業界研究・企業説明会の学内開催
  • 面接練習・ES添削

どれも就職率の数字には表れませんが、実際に学生が使う機能はこちらです。

強力なOB・OGネットワーク

歴史のある大学や特定の地域・業界に強い大学は、OB・OGとのつながりが就活に活きます。志望業界の先輩が多くいる大学、という選び方もあります。

インターンシップ・産学連携が活発

大学在学中から実務経験を積めるかどうかも大きな要素です。

マイナビの調査では、インターンシップ・仕事体験を実施した企業とそうでない企業とで、採用充足率に差が出ています。

採用充足率(企業側の調査)

単位:%

インターンシップ・仕事体験を実施した企業

実施しなかった企業

※マイナビ「2026年卒企業新卒内定状況調査」より。企業側の採用充足率であり、学生個人の内定率データではない点に注意

その差は14.7ポイント。

企業側がインターン経由の採用を重視している以上、大学がインターン紹介にどれだけ力を入れているかは、学生の就活の通りやすさにも関わってきます。

出典: マイナビ「2026年卒企業新卒内定状況調査」

学部・学科と就職の関係

就職に強い・弱いは、大学だけでなく学部・学科によっても変わります。大学名で迷っているなら、こちらの軸で見たほうが違いが見えます。

就職に有利な特徴例
資格・免許が取れる教育学部(教員免許)、薬学部(薬剤師)、工学部(建築士など)
専門性が高い情報学部(システムエンジニア、Webエンジニアなど)
実践的カリキュラム看護学部(臨床実習、看護師)、保育学部(保育実習、保育士)、専門職大学(企業内での長期実習が必修)

地方大学 vs 都市部大学

「都市部の大学は大企業に強く、地方の大学は地元就職に強い」というイメージを持つ人は多いですが、実際のデータを見ると単純な二分法では説明できません。

リクルート「就職みらい研究所」が、大学キャンパスの所在地別に、その地域出身の学生がどれだけ地域内で就職しているかを調べています。

結果は、地域によって大きく違いました。

大学のある地域に就職する学生の割合(地域出身の学生ベース)

北海道が最も高く、四国が最も低い結果でした

単位:%

北海道

首都圏

東北

京阪神

中国

四国

※リクルート「就職みらい研究所」大学生の地域間移動に関するレポート2024(2024年1月調査、n=1,920、就職先確定者)より。「①地域出身・地域内就職者」の割合

北海道は7割強が道内に就職し、地方の中でも突出して地元定着率が高い地域です。

一方、同じ「地方」でも四国は3割前半にとどまり、地域出身者の半数以上が四国以外(中国・首都圏など)に就職しています。

首都圏は約7割、京阪神は5割半ばと、都市部同士でも差があります。

「地方だから地元に残りやすい」「都市部だから外に出やすい」という単純な話ではなく、その地域の雇用の厚み次第というのが実態です。

同じ調査に含まれる有効求人倍率(求職者1人あたり何件の求人があるかを示す指標)を見ても、都市部・地方できれいに分かれてはいません。

有効求人倍率(大学キャンパス所在地の地域別)

中国地方が最も高く、北海道が最も低い結果でした

単位:倍

中国

東北

四国

首都圏

京阪神

北海道

※リクルート「就職みらい研究所」大学生の地域間移動に関するレポート2024より。2023年の地域別有効求人倍率(全国平均1.31倍)

求人の出やすさだけで見ると、都市部である首都圏(1.19倍)・京阪神(1.18倍)より、地方の中国地方(1.52倍)のほうが高いという結果です。

地元就職率と有効求人倍率、どちらの指標で見ても「地方か都市部か」よりも地域ごとの個別差のほうが大きくなっています。

進学先の地域が気になるなら、都道府県別の有効求人倍率が厚生労働省の一般職業紹介状況で毎月更新・公表されています。

就職実績を調べる方法

1. 大学の公式サイトで「就職実績」ページを探す

置き場所は「在学生の方」「卒業生の方」ではありません。多くは「大学案内」「入試情報」の中か、資料請求で届くパンフレットの巻末です。

サイト内検索で「就職実績」「進路状況」と入れるか、「大学名 就職実績」でGoogle検索するのが早いです。

見どころは2つ。就職先が業界別・学部別に分かれているか。そして、企業名が具体的に並んでいるか(「大手企業多数」のような曖昧な表記でないか)。

2. オープンキャンパスで就職担当者に聞く

聞くのは「就職率」ではありません。

  • 学部内での就職先の偏り(一部の有名企業に集中していないか)
  • 就職率の分母は、就職希望者か卒業者全体か
  • キャリアセンターの実際の利用率

この3つを聞くと、パンフレットに載らない実態が見えてきます。

3. 第三者の情報源で裏取りする

大学通信のキャンパスナビ ネットワークでは、大学別の就職率ランキングを確認できます。

「みんなの大学情報」などの在学生・卒業生の口コミサイトや、志望学部・学科名で検索したSNSの投稿もあわせて見ると、公式発表との温度差が見えてきます。

まとめ

  • 就職率だけでは差が出ない:全体平均が98.0%(令和6年度・就職希望者ベース)
  • 同じ言葉で別の計算:分母が就職希望者か卒業者全体かで数字が変わる
  • 理系は特に注意:理学部44.4%・工学部38.6%が大学院へ進む
  • 差がつくのは支援体制:キャリアセンター、OB・OG、インターン紹介
  • 地域は雇用の厚み次第:地元就職率は北海道70.9%、四国32.4%

次にやること — 志望校のサイトで「就職実績」ページを開いて、企業名が具体的に並んでいるかを見てください。「大手企業多数」としか書かれていない大学は、そこに載せられる実績が薄い可能性があります。

なりたい職業や取りたい資格が決まっているなら、そこから逆算して学部・学校を絞り込む方法もあります。

Eduriaでは学校一覧から各大学の就職率・学費を一覧で比較できます。

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