プログラマーになるには大学が必要?情報系学部・専門学校・スクールの違い
「プログラマーは学歴関係ない」と聞く一方で、親には大学に行けと言われる。専門学校やスクールでもいいのか、4年かけて大学に行くべきなのか。決めきれない高校生・保護者へ、4つの進路が制度上「何を残してくれるのか」を、修業年限・称号・編入の仕組みから整理しました。
「プログラマーは学歴が関係ない仕事だ」という話を、一度は目にしたことがあると思います。
これは半分本当です。
医師や歯科技工士のように「この資格がなければ業として行ってはならない」と法律が定める業務独占資格が、プログラミングには存在しません。
極端に言えば、明日から自分をプログラマーと名乗って仕事を受けても、法律上の問題は生じません。
ただ、そう聞いても迷いは消えないはずです。学歴が関係ないなら大学に行く必要はないのか。でも周りは進学するし、親には行けと言われる。
専門学校やスクールを選んで、あとで後悔しないか。
決められないのは当然だと思います。資格試験のように「これに受かればなれる」という一本道がないぶん、比べる基準が見えにくい職業だからです。
そこで、4つの進路が制度上「何を残してくれるのか」から整理します。ここが分かると、自分にとっての優先順位もはっきりします。
4つの道が残すものは、それぞれ違う
まず期間の差から。
プログラミングを学べる学校の修業年限
単位:年
大学(情報系学部)
専門学校
短期大学
※専門学校の修業年限は課程による。プログラミングスクールは学校教育法上の学校ではないため、この比較には含めていない(3か月から1年程度のコースが中心)。
期間の差はそのまま費用の差になります。ただ、それ以上に違うのは修了時に手元に残るものです。
| 大学(4年) | 学士 | 大学院への進学、多くの企業の「大卒」応募要件を満たす |
| 専門学校(2年以上) | 専門士 | 大学への編入学資格 |
| 専門学校(4年以上) | 高度専門士 | 大学院への入学資格 |
| プログラミングスクール | 修了証(各社独自) | 制度上の資格・称号は生じない |
専門士は、修業年限2年以上かつ総授業時数1,700単位時間(62単位)以上の課程。高度専門士は、4年以上かつ3,400単位時間(124単位)以上の課程です。
どちらも、文部科学大臣が指定したものを修了すると付与されます(文部科学省専門士・高度専門士の称号とは)。
この表で見落とされがちなのが、専門学校の「大学への編入学資格」です。
専門学校に行ったら大学の道が閉じる、というわけではありません。ここは後で詳しく触れます。
プログラミングスクールについても一言。スクールは学校教育法上の学校ではないので、卒業しても学歴にはなりません。
これは欠点というより用途の違いで、すでに大学や専門学校を出た社会人が技術を足すために設計されたものです。
高校卒業後の進路として大学・専門学校と並べる対象ではない、と考えておくと迷いが減ります。
学費は国立と私立で2倍以上開く
国立大学の授業料は、国立大学等の授業料その他の費用に関する省令第2条で標準額が決まっています。
学部の授業料は年額535,800円、入学料は282,000円。
各国立大学法人はこの標準額を基準に決めるので、学部を問わずほぼ同額になります。文系でも理系でも同じ、というのは私立にはない特徴です。
私立大学の場合、理工系・情報系は文系より高く設定されているのが一般的で、大学によって幅があります。
Eduriaに登録している大学のうち情報系の学部・学科を持つ学校では、初年度に納める金額の目安が100万円台後半に達する例が複数あります。
学部単位で金額が違うので、志望校が決まったら大学ごとのページで見てみてください。
学費は4年分で見積もると景色が変わる
情報系は実習用の設備費が上乗せされることが多く、初年度の金額だけで判断すると2年目以降で計算が狂います。授業料の年額に在学年数を掛けて、入学料と施設費を足した総額で比べると、印象が変わることがあります。専門学校は2年制なら在学期間が半分なので、年額が近くても総額では差がつきます。奨学金や授業料減免の対象になるかどうかも、この段階で調べておくと選択肢が広がります。
大学の情報系学部では何を学ぶのか
情報系の学部では、プログラミング言語の使い方そのものより、その下にある理論を扱います。
アルゴリズムとデータ構造、計算量、離散数学、統計、機械学習の数理といった科目です。
手を動かして動くものを作る演習もありますが、時間配分の重心は理論側にあります。
「4年もかけて何をするのか」と思うかもしれません。この配分には理由があります。
言語やフレームワークは数年で入れ替わる一方、計算量の見積もりや確率統計の考え方は入れ替わらないからです。
すぐには使わない知識に時間を割いているぶん、効いてくるのは新しい技術に乗り換えるときや、既存の道具では解けない問題に当たったときです。
もうひとつ、大学にしかない道が大学院です。
研究職や、機械学習・セキュリティなど修士以上が事実上の前提になっている領域を視野に入れるなら、学士を経由することになります。
専門学校からでも高度専門士なら大学院に進めますが、その場合は4年制の課程を選ぶことになります。
専門学校は「早く現場に出る」ための設計
専門学校の情報系学科は、2年で就職することを前提に組まれています。実習の比率が高く、企業と連携した課題やインターンを組み込む学校も多くあります。
大学より2年早く働き始められるので、学費の総額が下がるうえに、収入を得る期間が2年長くなります。
弱点もあります。理論の土台が薄いこと、そして応募要件で「大卒」を指定する企業に出願できないことです。
ただし、どちらも詰みではありません。
理論の部分は基本情報技術者試験や応用情報技術者試験の学習である程度補えますし、大卒要件のほうは専門士の編入学資格を使って大学3年次に入る道があります。
早く働きたいなら専門学校
2年制なら高校卒業から2年で就職します。早く実務経験を積みたい、学費の総額を抑えたい。この条件が優先されるなら、素直に合理的な選択です。
やりたいことが固まっていないなら大学
計算量や統計の基礎、そして大学院という選択肢は大学にしかありません。何をやりたいかがまだ見えていないなら、幅を残しておける4年間は無駄になりません。
決めきれなくても編入という道がある
専門士を取れば大学に編入学できます。2年学んでから方向を変えられる。18歳の時点で人生を決めきる必要はない、ということです。
スクールは社会人になってからの選択肢
3か月から1年で特定の技術を身につける設計で、学歴にはなりません。高校からの進路としてではなく、就職後や転職時の武器として考えると役に立ちます。
高校生のうちにできること
「情報Ⅰ」は2022年度から高校で必履修になり、2025年1月実施の大学入学共通テストから新教科として加わりました。
国立大学は原則として情報を含む6教科8科目を課しています。情報系の学部を目指すかどうかにかかわらず、国立大学の受験生には避けられない科目になりました。
出題傾向と対策は「情報Ⅰ」は大学入試でどう出る?で扱っています。
高校の段階でプログラミングを本格的に学びたいなら、工業高校の情報技術系の学科や、ITコースを設けている通信制高校という選択肢があります。
ここでひとつ安心材料を。普通科に進んで独学と部活動で進めても、大学入試の面で不利になることはありません。
選抜されるのは入試科目の成績であって、高校でどれだけプログラミングに触れたかではないからです。
今すぐ環境が整っていなくても、遅れを取ることにはなりません。
資格は学歴の代わりになるか
情報処理技術者試験は学歴・年齢を問わず受験できます。
2023年には8歳の小学3年生が基本情報技術者試験に合格したことがIPAから発表されました(IPAプレスリリース)。
年齢も学歴も問われない試験だということが、この一件からもよく分かります。
専門学校や独学のルートを選ぶ場合、これらの資格は「大卒でないこと」を補う数少ない公的な指標になります。
大学の情報系学部に進む場合も、在学中に取っておくと就職活動で早く動けます。どちらの道でも無駄にならない投資です。
通える範囲に何があるかを先に見る
情報系の学部・学科は都市部だけにあるわけではなく、地方の国公立大学にも工学部の情報系学科が置かれています。
一方で専門学校は所在地の偏りが大きく、通学圏に選択肢が1校か2校しかない地域もあります。
「大学か専門学校か」という大きな二択で悩む前に、通える範囲にどの学校があるかを書き出してみる。それだけで、話がぐっと具体的になります。
実際に選べるのが2つなら、比べるのはその2つだけです。悩む対象が減るだけでも、決断はずいぶん楽になります。
好きを仕事にできる専門学校特集
分野や地域から専門学校を探して、複数校にまとめて資料請求できます。情報系の学科は学校ごとにゲーム・Web・ネットワークなど専攻の設計が違うので、カリキュラムを並べて見比べるところから始められます。
資料請求は無料
無料で資料請求するまとめ
- 資格は要らない:業務独占資格がない。「学歴が関係ない」は半分本当
- 大学が残すもの:学士と、大学院への道
- 専門学校が残すもの:専門士と、大学への編入資格
- スクールが残すもの:技術。ただし学歴にはならない
- 学費:国立は年535,800円(省令の標準額)。私立の情報系は4年分の総額で見る
次にやること — 通える範囲にある情報系の学校を、大学・専門学校まとめて書き出してみてください。実際に選べるのが2つなら、悩む対象は2つだけです。
※制度・金額は2026年7月時点の情報です。国立大学の授業料の標準額は国立大学等の授業料その他の費用に関する省令、情報処理技術者試験の日程はIPAの試験情報で公表されています。
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