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歯科技工士になるには?養成校2年・国家試験と、就業者が減っている理由

歯科技工士について調べると「なり手が減っている」「給料が安い」という話にぶつかって、手が止まってしまった人へ。実際の数字はどうなのか、なるまでに何をすればいいのか、学校を選ぶときに何を見ればいいのかを、厚生労働省の統計と法令をもとにまとめました。

#歯科技工士#医療#専門学校#資格#進路

歯科技工士について調べていると、「なり手が減っている」「給料が安い」という話にぶつかります。

手を動かしてものを作る仕事に惹かれて調べ始めたのに、出てくるのは暗い情報ばかり。そこで手が止まっている人もいると思います。

実際のところどうなのか、公的な統計で確かめました。

先に数字から言うと、就業している歯科技工士は2014年の34,495人から2024年には31,733人まで減っています。

一方、同じ歯科分野の国家資格である歯科衛生士は、同じ10年間で116,299人から149,579人へ。

3万人以上増えています(厚生労働省令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況)。

減っているのは事実です。

ただ、同じ資料と関連する報告書には、それとは逆を向いた数字も並んでいます。求人はむしろ増えていて、応えきれていない。

この2つをどう受け取るかが、この職業を選ぶかどうかの分かれ目になります。順に見ていきます。

歯科技工士にしかできない仕事

歯科技工士法は、「歯科技工」を、特定の患者の歯科医療に使う補綴物(入れ歯や被せ物)、充填物、矯正装置を作成・修理・加工することと定義しています。

そして第17条で、歯科医師または歯科技工士でなければ、業として歯科技工を行ってはならないと定めています(歯科技工士法)。

法律で守られている仕事、という言い方もできます。

資格を持たない人が代わりにできる業務ではないので、AIや機械化の話が出るたびに不安になる職種とは、その点で立ち位置が違います。

裏を返せば、資格なしでこの仕事に近づく道はありません。学校選びがそのまま職業選択になります。

プログラマーのように資格が要らない職業とは、進路の決め方がまるで違います。

なるまでの道のりは、意外とシンプル

医療系の国家資格は要件が複雑なものも多いのですが、歯科技工士は道筋がはっきりしています。

国家試験の受験資格は歯科技工士法第14条にあります。実質的な入口は、文部科学大臣が指定した歯科技工士学校か、都道府県知事が指定した歯科技工士養成所を卒業すること。

歯科医師国家試験を受けられる人と、海外の養成校卒業者で厚生労働大臣が同等以上と認めた人にも受験資格はあります。ただ、高校からの進路としては養成校の一択です。

養成校の基準は歯科技工士学校養成所指定規則の第2条にあります。

入学資格学校教育法第90条第1項に掲げるもの(高校卒業程度)
修業年限2年以上であること
1学級の定員30人以内であること(教育効果を十分に挙げられる場合の例外あり)

修業年限が「2年以上」なので、実際には2年制の専門学校が中心で、3年制の専門学校、2年制の短期大学、4年制の大学もあります。

看護師や歯科衛生士は3年以上が必要なので、歯科技工士は医療系の国家資格のなかでは短い期間で受験までたどり着けます。

1

高校を卒業する(または卒業見込み)

入学資格は高校卒業程度で、理系科目を指定している学校は多くありません。理科や数学が苦手だから無理、ということはないということです。ただし細かい手作業と立体の把握が毎日の仕事になります。美術や技術の実習が好きだったかどうかは、ひとつの目安になります。

2

養成校で2年以上学ぶ

歯科理工学、有床義歯技工学、歯冠修復技工学などの専門科目に加え、実習に多くの時間を割きます。1学級30人以内という定員の上限は、実習中心の教育を前提にした基準です。

3

歯科技工士国家試験に合格する

例年2月に実施されます。受験するのは基本的に養成校の卒業見込み者です。

4

免許登録をして働き始める

合格後に厚生労働大臣の免許を受けます。就業先は歯科技工所か、病院・歯科診療所です。

国家試験は9割が合格している

直近の第11回歯科技工士国家試験は令和8年2月15日に国内4会場で実施され、受験者792人に対し合格者は722人、合格率は91.2%でした(厚生労働省第11回歯科技工士国家試験の合格発表について)。

合格基準は筆記試験が80点満点中48点以上、実地試験が90点満点中54点以上で、どちらも満たすと合格です。

実技が合否に直結するのは、筆記だけの資格試験と大きく違うところです。

9割という数字は心強いのですが、「誰でも受かる」という意味ではありません。

受験するのは養成校の課程を修了した(または修了見込みの)人にほぼ限られているので、母集団が最初から絞られています。

本当の関門は試験そのものより、2年間の実習をやり切れるかどうかにあります。逆に言えば、学校に通い続けられれば資格は手が届く範囲にあります。

就業者数は10年で2,762人減った

冒頭で触れた減少を、10年分の推移で見てみます。

就業歯科技工士数の推移

単位:人

出典:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(各年末現在、隔年調査)

2020年までは3万4千人台で安定していたのが、2022年に落ちています。

2024年末は31,733人で、前回調査(2022年)より1,209人、3.7%の減少です。

歯科技工所の数も20,278か所と、2年で563か所(2.7%)減りました。

減っているのは若手が来ないからだけではない

年齢構成を見ると、この減少がどこから来ているのかが見えてきます。

就業歯科技工士の年齢階級別の構成割合(2024年末)

65歳以上が19.3%で最も多く、25歳未満は4.7%と最も少ない結果でした。

単位:%

25歳未満

25〜29歳

30〜34歳

35〜39歳

40〜44歳

45〜49歳

50〜54歳

55〜59歳

60〜64歳

65歳以上

※出典: 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」。実人員は25歳未満1,498人、65歳以上6,127人。

歯科衛生士は25〜29歳が13.4%で最も多く、若い層に厚みがあります。歯科技工士はその逆で、65歳以上が最大の層です。

厚生労働省の歯科技工士の養成・確保に関する検討会報告書(2020年3月)は、この違いを指摘しています。

歯科衛生士は、20代から30代で離職しても復職するM字型。歯科技工士は右肩下がりで、離職後に復職する人が少ない。

つまり減少の原因は2つあります。入ってくる人が少ないことと、辞めた人が戻ってこないこと。

片方だけが改善しても、数字は戻りません。

この年齢構成には、もうひとつの読み方もあります。25歳未満はわずか1,498人しかいません。

これから入る人にとっては、同世代が少ない業界だということです。

人が減っているのに、求人は増えている

同じ検討会報告書は、入学者数と卒業者数が減る一方で求人件数は増加傾向にあり、求人に応えられていない状況があると述べています。

資格を取ったのに働く場所がない、という心配はこの職業では小さいということです。

ただし、報告書は離職の理由も記録しています。歯科技工士として就業していない人が仕事を辞めた理由の上位は「仕事内容への不安」と「給与・待遇面」。

同じ報告書が引く労働実態調査には、こんな質問もあります。「社会の人々は、私の仕事を尊敬するに値する仕事だと思っている」「私は仕事をしていて着実な人生設計がたてられる」。

どちらも、否定的な回答が半数を超えました。

厚生労働省job tagが示す歯科技工士の平均年収の目安は458.6万円(令和7年)です(job tag「歯科技工士」)。

この数字だけを見れば低くはありません。

ただ平均には経験を長く積んだ層や独立した経営者も含まれるので、就職して数年の給与がこの水準というわけではありません。

就職率100%の裏側まで聞いてみる

求人が多いことは、就職しやすさを意味しても、働きやすさまで保証するものではありません。学校のパンフレットにある就職率100%という数字だけでは、そこが見えないままです。

見えるのは、卒業生がどこに何年勤めているか。これはオープンキャンパスで普通に聞ける話です。

答えてくれる学校とそうでない学校の差が、そのまま判断材料になります。

働く場所は7割が歯科技工所

就業場所の内訳は、歯科技工所が74.1%(23,521人)、病院・歯科診療所が24.3%(7,723人)、その他が1.5%(489人)です(2024年末)。

歯科技工所というのは、歯科医院から依頼を受けて技工物を作る事業所のことです。

検討会報告書によれば、就業歯科技工士が1人だけの歯科技工所が約77%を占めます(令和2年時点)。

多くの技工士が、小規模な事業所か、個人で仕事を受ける形で働いています。独立しやすい仕事だとも言えます。

病院や歯科診療所の中で働く院内技工士は全体の4分の1で、こちらは減少傾向にあると報告書は指摘しています。

歯科医師や歯科衛生士と同じ場所で働きたいのか、技工に集中できる環境がいいのか。どちらを望むかで、目指す就職先が変わります。

東京・大阪・神奈川に集中している

就業地には偏りがあります。

就業歯科技工士数の多い都道府県(2024年末)

東京都が2,925人で最も多く、上位5都道府県で全国の約3割を占めます。

単位:人

東京都

大阪府

神奈川県

愛知県

北海道

福岡県

兵庫県

埼玉県

千葉県

広島県

※出典: 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」統計表3。全国計は31,733人。

養成校の所在地も都市部に偏っています。地元に養成校がなければ進学と同時に転居することになり、学費に生活費が上乗せされます。

ここは早めに家族と話しておいたほうがいい部分です。

学校を見るときに気になるところ

国家試験の合格実績は複数年で見る

全国平均が9割の試験なので、単年で100%かどうかにはあまり意味がありません。見たいのは複数年の推移と、受験者数が卒業者数と一致しているか。卒業できなかった人が受験していなければ、合格率は実態を映しません。

CAD/CAMなどのデジタル機器がどれだけあるか

検討会報告書も、CAD/CAM装置を用いたデジタル技工への関心が学生の間で高いことに触れています。ただし義歯製作など手作業が残る領域も大きく、デジタルに寄りすぎた実習内容だとそれはそれで困ります。

就職先が歯科技工所か院内か

全体では7割が歯科技工所ですが、学校によって病院・診療所への就職実績には差があります。卒業生の就職先の内訳を聞くと、その学校の実習内容の傾向も見えてきます。

1学年の人数と実習台の数

指定規則の上限は1学級30人以内です。実習中心の課程では、教員1人が見る学生数がそのまま指導の密度になります。少人数であることが強みになる分野です。

Eduriaに登録のある歯科技工士の養成校

学校名や学科名に「歯科技工」を含む学校のうち、Eduriaに登録があるものです。

全国の養成校をすべて網羅できてはいないので、志望する地域の学校は厚生労働省や各都道府県の指定養成所一覧もあわせて見てみてください。

学校名所在地
新東京歯科技工士学校東京都
日本大学歯学部附属歯科技工専門学校東京都
日本歯科大学東京短期大学東京都
新横浜歯科衛生士・歯科技工士専門学校神奈川県
札幌歯科学院専門学校北海道
岩手医科大学医療専門学校岩手県
日本歯科大学新潟短期大学新潟県
岐阜県立衛生専門学校岐阜県
愛知学院大学歯科技工専門学校愛知県
名古屋歯科医療専門学校愛知県
新大阪歯科技工士専門学校大阪府
日本歯科学院専門学校大阪府
岡山歯科技工専門学院岡山県
広島歯科技工士専門学校広島県
徳島歯科学院専門学校徳島県

好きを仕事にできる専門学校特集

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数字をどう受け取るか

ここまで見てきた数字を並べ直します。

就業者は減っている。年齢構成は上に偏っている。離職理由には給与・待遇が挙がっている。一方で、求人は足りていない。国家試験は9割が合格している。

資格を持つ人にしかできない仕事で、独立している人も多い。

同じ職業について、心配になる数字と、悪くない数字が両方あります。

どちらか一方だけを見せる記事のほうが読みやすいのは確かですが、進路を決めるときに必要なのは両方だと思います。

そのうえで、この職業に向いているかどうかを最後に決めるのは、統計ではありません。

細かい手作業を何時間も続けられるか、自分の作ったものが人の口の中で機能することに面白さを感じるか。そこは数字では測れない部分です。

学校見学で実習室を見て、在校生の手元を見せてもらうのがいちばん早いと思います。

まとめ

  • なり方は一本道:養成校を2年以上 → 国家試験に合格
  • 入学のハードル:高校卒業程度。理系科目の指定は少ない
  • 試験:合格率91.2%。本当の関門は2年間の実習
  • 人は減っている:31,733人。10年で2,762人減
  • でも仕事はある:求人に応えきれていないと国の報告書に明記

次にやること — 気になる養成校のオープンキャンパスで、「卒業生はどこに何年勤めていますか」と聞いてみてください。この1問への答え方で、学校の姿勢がかなり分かります。

※この記事の数値は2026年7月時点で公表されている資料に基づいています。最新の情報は厚生労働省の歯科技工士国家試験の施行、衛生行政報告例で公表されます。

※本記事にはプロモーションが含まれます