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士業の年収は本当に高い?8資格の平均を、国税庁の平均給与と並べてみた

「資格を取れば年収が上がる」と思って調べ始めたのに、士業の平均年収を見て手が止まった人へ。宅建士から弁護士まで8資格の平均年収を、国税庁が公表する給与所得者の平均478万円と並べて整理しました。

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「資格を取れば年収が上がる」と思って調べ始めると、途中で妙な数字にぶつかります。行政書士の平均年収が約398万円。宅建士が約360万円。

国家資格なのに、世間の平均より低く見える。ここで「じゃあ何のために取るのか」と手が止まる人は多いはずです。

数字自体は動かせませんが、並べ方を変えると見え方は変わります。この記事では8つの資格の平均年収を、国税庁が公表している給与所得者全体の平均と並べます。

そのうえで、この平均値が何を含んでいて何を含んでいないのかを整理します。

まず、比べる基準を置く

国税庁の令和6年分 民間給与実態統計調査によれば、1年を通じて勤務した給与所得者5,137万人の平均給与は478万円でした。

過去最高で、4年連続の上昇です。内訳は正社員が545万円、正社員以外が206万円。男女別では男性587万円、女性333万円となっています。

士業の年収を見るときは、この478万円(または正社員の545万円)が基準線になります。

8資格の平均年収を並べる

8資格の平均年収と、給与所得者の平均

単位:万円

宅地建物取引士

行政書士

中小企業診断士

給与所得者の平均(国税庁)

社会保険労務士

正社員の平均(国税庁)

司法書士

税理士

公認会計士

弁護士

※税理士・公認会計士・弁護士は厚生労働省job tagの公表値。宅建士・行政書士・中小企業診断士・社会保険労務士・司法書士は書籍『日本の給料&職業図鑑』(給料BANK著/宝島社)による推定値で、公的統計ではありません。出典の性質が異なる数字を同じ図に並べている点に注意してください。

見てのとおり、8資格のうち3つは給与所得者の平均478万円を下回っています。正社員の平均545万円を基準にすると、下回るのは4つになります。

一方で税理士・公認会計士は811万円、弁護士は981万円。同じ「士業」でも倍以上の開きがあります。

「士業は稼げる」も「士業は思ったより稼げない」も、どの資格を見るかで両方成り立ってしまう、というのがこの図の意味するところです。

この数字は、何を含んでいるのか

ここからが本題です。平均年収という数字は、性質のまったく違う働き方を1つの数値に潰しています。

開業と勤務が混ざっている。 行政書士の398万円には、独立して事務所を構えている人と、行政書士事務所に勤務している人、企業の法務部門で資格を持ちながら働いている人が混ざります。開業者の収入は「売上-経費」で、軌道に乗るまでの数年間は低く出ます。同じ資格の中で年収0円に近い人と1,000万円超の人が同居しているのが実態で、その真ん中を取った数字が398万円です。

資格だけで働いていない人が多い。 宅建士の360万円がいい例です。宅建士は不動産会社の従業員が取る資格という側面が強く、多くの人にとっては「宅建士という職業に就く」のではなく「不動産の仕事に宅建の資格が加わる」形になります。この場合、年収を決めているのは主に勤務先と職種で、資格はそこに手当として乗る部分です。

取得後すぐの人と、20年選手が同じ列にいる。 平均値には経験年数の分布がそのまま入ります。資格を取った直後の年収を知りたい人にとって、この数字は高すぎることも低すぎることもあります。

つまりこの平均年収は「その資格を取ると自分がいくらになるか」の予測値ではありません。

その資格を持つ人たちが今いくら稼いでいるかの、真ん中あたりの目安です。

出典が違う数字を並べる危うさ

上の図には、性質の違う2種類の数字が混ざっています。

税理士・公認会計士・弁護士厚生労働省job tagの公表値。国の職業情報提供サイトの数値で、賃金構造基本統計調査などをもとにしている
宅建士・行政書士・中小企業診断士・社労士・司法書士書籍『日本の給料&職業図鑑』(給料BANK著/宝島社)による推定値。公的統計ではない

厚労省job tagの数値は、税理士・公認会計士・弁護士の各ページで元データを確認できます。

一方、書籍による推定値の側は算出根拠が公開されていないため、公的統計と同じ精度では扱えません。

Eduriaでは職業ページごとに出典を明記して、公的統計か参考値かが分かるようにしています。

年収の数字を見かけたら、それがどちらなのかを一度確認すると、受け取り方が変わると思います。

それでも資格で年収が動く、3つの経路

平均年収が世間並みかそれ以下でも、資格を取ることで収入が変わる経路はあります。ただし経路によって効き方がかなり違います。

資格手当が毎月乗る

宅建士のように、勤務先が資格手当を制度化している場合。金額は勤務先次第ですが、取得直後から確実に効く経路です。求人票の手当欄に書いてあることが多いので、応募前に確認できます。

その資格がないとできない仕事に就ける

独占業務のある資格の場合、そもそも応募できる求人の範囲が変わります。年収そのものより「選べる職種が増える」形で効きます。

独立という選択肢が生まれる

開業できる資格では、上限が外れる代わりに下限も外れます。平均年収が二極化するのはこの経路のためで、期待値ではなく分散が大きくなる、という理解のほうが実態に近いです。

「資格を取れば年収が上がる」という言い方は、この3つを一緒くたにしています。

自分が狙っているのがどの経路なのかで、選ぶべき資格も、取ったあとにやることも変わります。

費用と時間を回収できるか、という見方

年収の期待値だけで決められない以上、もう一方の軸は「いくら払って、どれだけ時間を使うか」になります。

たとえば宅建は勉強時間300〜400時間、独学なら教材費数千円〜1万円台、通信講座で5〜15万円が目安です。

社労士は800〜1,000時間、通信講座で8〜20万円あたり。同じ「士業」でも、投じるものの桁が違います。

判断の順番

先に「年収がいくら上がるか」を計算しようとすると、平均値の性質上どうしても曖昧になります。先に「この資格に払える金額と時間」を決めて、その範囲で取れる資格を見るほうが、判断としては早く進みます。

各資格の勉強時間と講座費用は、Eduriaの資格ページで比べられます。

無料の過去問サイトだけで進める道もあるので、「まず無料教材で1週間やってみて、続きそうなら講座を検討する」という順番も現実的です。

まとめ

  • 平均478万円が基準:国税庁の令和6年分調査。正社員だけなら545万円
  • 8資格中3つが平均以下:宅建士360万・行政書士398万・中小企業診断士420万
  • 同じ士業で倍以上の差:弁護士981万と宅建士360万が同じ「士業」に入っている
  • 平均値は予測値ではない:開業と勤務、新人とベテランが1つの数字に潰れている
  • 出典を見る:公的統計(厚労省job tag)と書籍の推定値が混在している

次にやること — 気になる資格の求人を1件開いて、手当欄に資格手当が書いてあるかを見てみてください。書いてあればその金額が、あなたにとって最初に効く「資格の値段」です。

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