不登校の中学生が通う「中等部」とは?フリースクールとの違いと、その後の高校進学
中学校に行けない日が続いて、このまま高校に進めるのか不安になっている保護者へ。通信制高校の運営元がつくる「中等部」の仕組み、一般的なフリースクールとの違い、出席扱いの条件、中学卒業後の進学ルートを整理しました。
中学校に行けない日が続くと、目の前の「今日どうするか」と同じくらい、「このまま高校に行けるのか」が重くのしかかってきます。
調べているうちに「中等部」という言葉に行き当たった、という人も多いと思います。
私立の中高一貫校にある中等部を思い浮かべるかもしれませんが、ここで扱うのは別物です。
不登校の中学生を対象にした、通信制高校の運営元による学びの場を指します。
背景には数字もあります。
文部科学省の調査によると、2024年度の小中学生の不登校児童生徒数は約35万4,000人で、12年連続で過去最多を更新しました。
この状況を受けて、通信制高校やサポート校を運営する法人が中学生向けの中等部を開設する動きが増えています。
2024年度 小中学生の不登校児童生徒数
12年連続で過去最多出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(令和6年度)
不登校児童生徒数の推移
単位:人(小学校+中学校合計)
出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」各年度
中等部とは何か
ここでの中等部は、通信制高校やサポート校を運営する学校法人・企業が、中学生を対象に展開している学びの場です。
学習支援に加えて、生活リズムづくりや対人関係の練習など、不登校の子どもが再び学び始めるための居場所として機能しています。
先に伝えておきたいのは、「通信制中学校」という制度は存在しないということです。
高校には通信制課程がありますが、義務教育である中学校にその仕組みはありません。
そのため中等部に通う生徒は、住んでいる地域の公立中学校(または在籍している私立中学校)に籍を置いたまま、日中の学びの場として中等部に通う形になります。
中等部そのものは法律上の「学校」ではなく、卒業資格を出す主体でもありません。
あくまで在籍する中学校を卒業することが前提で、中等部はそこに至るまでの学習・生活のサポートを担う施設です。ここを取り違えると、あとで話が食い違います。
一般的なフリースクールとの違い
不登校の子どもの学びの場としては、以前から「フリースクール」があります。
中等部は、運営元が通信制高校の系列であるという点を除けば、フリースクールと似た役割を果たします。
| 一般的なフリースクール | 通信制高校系の中等部 | |
|---|---|---|
| 運営元 | NPO法人・個人・民間団体などさまざま | 通信制高校・サポート校を運営する学校法人・企業 |
| 在籍する中学校 | 地域の公立・私立中学校に在籍したまま通う | 同左 |
| 卒業資格 | 在籍する中学校が発行 | 在籍する中学校が発行(中等部単独では出ない) |
| 高校進学への接続 | 施設によって差がある | 系列の通信制高校・サポート校への進学ルートが用意されていることが多い |
大きな違いは、卒業後の進路です。
中等部は運営元が通信制高校・サポート校を持っているため、そのまま系列の高等部(通信制高校)に進学できる導線があらかじめ用意されているケースが多く見られます。
もちろん、系列以外の高校を選ぶ道も閉じません。
近くに通える施設がない場合は、フリースクール自体をオンライン型で探す方法もあります。
出席扱いになる条件や選び方はオンラインフリースクールとは?出席扱いになる条件・選び方を解説にまとめています。
出席扱いになるかどうか
在籍する中学校を長く休んでいると、内申点や進路への影響が気になってきます。
文部科学省は、一定の要件を満たす学校外の施設での学習について、校長の判断で指導要録上の出席扱いとできるという方針を示しています。主な要件は次の通りです。
- 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係があること
- 訪問等による対面指導を継続的に受けられること
- 児童生徒の学習理解度に応じた、適切な学習プログラムが提供されていること
- 校長が、対面指導や学習活動の状況を十分に把握できること
出席扱いになるかどうかに全国一律の基準はなく、最終的には在籍する中学校の校長が個別に判断します。
裏を返せば、施設側にこれまでの実績があり、在籍校との連携が回っているかどうかで結果が変わるということです。ここは入学前に聞いておきたいところです。
なお、高校進学後は事情が変わります。
高校でも校長判断による出席扱いの制度はありますが、高校の卒業には出席日数とは別に単位の取得が必要なため、出席扱いだけでは進級・卒業になりません。
中等部から通信制高校に進むときに、認識のずれが起きやすい部分です。
中等部を利用するメリット
生活リズムを取り戻しやすい
決まった時間に通う場ができることで、昼夜逆転などの生活の乱れを立て直すきっかけになる。
少人数・個別対応が中心
一斉授業についていく負担が少なく、自分のペースで学び直せる。
高校進学への接続がスムーズ
系列の通信制高校・サポート校とカリキュラムや雰囲気の連続性があり、「中学の学びの場から高校進学」までの見通しを立てやすい。
同じ境遇の生徒と過ごせる
不登校を経験した生徒が多く通っているため、孤立感を感じにくい。
デメリット・注意点
- 中等部単独では卒業資格が出ない:あくまで在籍する中学校の卒業が前提。中等部の在籍だけで中学卒業にはならない
- 出席扱いになるとは限らない:校長判断のため、施設によっては出席扱いの実績が少ない場合もある
- 費用がかかる:公立中学校は授業料がかからないが、中等部は民間施設のため別途学費がかかる。金額は施設によって幅が大きく、通信制高校のサポート校と同程度の水準になることもある
- 施設によって指導内容・体制にばらつきがある:スタッフの対応や学習プログラムの中身は、見学・体験でしか分からない部分が大きい
中等部から通信制高校への進学ルート
中等部を使う家庭にとって、最終的に気になるのは「その後どの高校に進むか」です。
多くの中等部は運営元の通信制高校・サポート校と連携していて、中学卒業後にそのまま系列の高等部(通信制高校)へ進学する生徒が一定数います。
中等部の段階から高校生活に近い雰囲気に慣れておけるので、「中学から高校への移行でまた環境が変わる」という負担が小さくなります。
一方で、系列の高校に進むことが必須というわけではありません。
中等部で学習・生活のリズムを立て直したうえで、改めて自分に合う通信制高校を比べることもできます。
通信制高校は学校によってサポート体制・特化コース・学費が大きく違うので、中等部在籍中から情報を集めておくと、進学のタイミングで急がずに済みます。
- 通信制高校の基本的な仕組みは通信制高校とは?全日制との違い・メリット・学費を解説
- 生活・学習面のサポートを重視するなら通信制高校とサポート校の違い・いらないケースの見分け方
このあたりを先に読んでおくと、中等部から高校進学までの流れが具体的になります。
中等部を選ぶときに見ておきたいところ
- 在籍中学校との連携体制:出席扱いの実績、定期的な情報共有の有無
- 系列の通信制高校の内容:中等部単体だけでなく、進学予定の高等部のカリキュラム・学費・卒業実績まで含めて見る
- 通いやすさ:通学頻度、オンライン対応の有無、自宅からの距離
- 費用:入学金・月謝に加えて、系列の通信制高校に進学した場合の学費見通しまで
そのうえで最後に効いてくるのは、子ども本人がその場所に安心していられそうかどうかです。ここは見学や体験入学でしか分かりません。
まとめ
- 中等部とは:通信制高校の運営元がつくる、不登校の中学生向けの学びの場
- 制度上の位置づけ:「通信制中学校」は存在しない。在籍中学校に籍を置いたまま通う
- 卒業資格:発行するのは在籍中学校。中等部単独では中学卒業にならない
- 出席扱い:校長の個別判断。施設の実績と在籍校との連携次第
- 高校進学:系列の通信制高校へ進む生徒は多いが、そこに限る必要はない
次にやること — 気になる中等部に問い合わせるとき、「これまでに在籍校で出席扱いになった生徒はいますか」と聞いてみてください。実績のある施設は具体的に答えられますし、この一問で連携体制の実態がかなり見えます。
通信制高校まで含めて比べたい段階なら、Eduriaの通信制高校一覧で学校ごとの特徴・学費を並べたり、通信制高校かんたん診断で候補を絞ったりもできます。
スポンサーリンク
関連記事
静岡県の通信制高校の学費を比較|公立年3万円から私立88万円まで【2026年度】
静岡県の通信制高校を調べると、県内に本校を置く6校と、県内にキャンパスを持つ広域通信制7校が混ざって出てきます。13校の年間学費を就学支援金の適用前という同じ物差しでそろえ、広域通信制は静岡・浜松・沼津のどこに通えるかまで一覧にしました。公立と私立で差が出る理由、静岡県独自の修学資金、表に出てこない費用も整理しています。
続きを読む →子どもが「学校に行きたくない」と言ったら|COCOLOプランで変わった学びの選択肢
「学校に行きたくない」と子どもに言われて、何をどう考えればいいか分からなくなっている保護者へ。国の方針(COCOLOプラン)が学校復帰以外の道をどう認めているか、選択肢ごとの費用、最初に連絡する窓口を整理しました。
続きを読む →N高の学費はいくら?「年7万円」と「年100万円」が両方出てくる理由をコース別に整理
N高等学校の学費を調べると「年7万円」と「年100万円」の両方が出てきて混乱します。差の正体はコースです。ネットコース・週1・週3・週5通学の年間負担、就学支援金が効く範囲と効かない範囲、MacBookやスクーリング旅費など表に出にくい費用まで、判断に使える形で整理しました。
続きを読む →