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通級指導とは?通常学級に在籍したまま受けられる支援と、相談の始め方

「集団行動が苦手かもしれない」「読み書きに時間がかかる」。診断名がつくかどうかの手前で気になっている保護者へ。通常学級に在籍したまま一部だけ支援を受けられる「通級による指導」の対象・特別支援学級との違い・どこに相談すればいいのかを整理しました。

#通級指導#特別支援教育#学校選び

担任の先生から「授業中に席を立つことがあります」と言われた。宿題の読み書きに時間がかかって、毎晩それだけで終わってしまう。

診断名がつくのかどうかも分からないまま、どこに何を聞けばいいのかで止まっている。そういうところからこのページを開いた人が多いと思います。

支援が必要かどうかを決めきる前でも使える制度があります。「通級による指導」です。

通常の学級に在籍したまま、一部の時間だけ別の教室で特性に応じた指導を受ける仕組みで、2023年度には利用する児童生徒が20万人を超えました。

通常学級に在籍しながら、一部だけ特別な指導を受ける

通級による指導は、授業の大部分を通常の学級で受けながら、障害に応じた特別な指導だけを通級指導教室で受ける制度です。

対象になるのは、言語障害、自閉症、情緒障害、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)などです。

対象になるのは、通常学級での学習におおむね参加できる子どもです。

実施方法は、在籍校で受ける「自校通級」、他の学校に通う「他校通級」、担当教員が学校を回る「巡回指導」の3パターンがあります。

転校しなくていい、クラスが変わるわけでもない、という点が特別支援学級との一番の違いです。

制度化されたのは小中学校が1993年度、高等学校はそれよりずっと遅れて2018年度からです。

高校で通級指導が使えるようになってから、まだ10年に満たない制度だということになります。

20万人を超えた利用者数、遅れる中学・高校での普及

文部科学省の令和5年度調査によると、通級による指導を受けている児童生徒数は203,376人で、初めて20万人を超えました。

前年度からの増加のうち、伸び率が最も大きかったのは高等学校で、対象生徒数は2,371人と前年度比約15%増えています。

障害種別では言語障害とADHDが多い一方、LDと情緒障害は前年度からの増加幅が大きく、発達障害に関する保護者側の理解が進んだことが利用増加の一因とされています。

通級による指導を受けている児童生徒数の推移

単位:人

出典:文部科学省「通級による指導実施状況調査」各年度版

4年前の134,185人から7万人近く増えている計算になります。特別なケースの話ではなくなってきている、という読み方ができます。

ただし、実施校の割合には校種ごとに大きな差があります。

通級指導を実施している学校の割合は、公立小学校が77.5%であるのに対し、公立中学校は50.8%、公立高校はわずか12.1%にとどまります。

小学校で当たり前になりつつある支援が、進学するにつれて受けにくくなる構造がまだ残っています。

通級による指導を実施している学校の割合(校種別)

公立小学校が最も高く、公立高等学校が最も低い結果でした

単位:%

公立小学校

公立中学校

公立高等学校

※文部科学省「令和5年度通級による指導実施状況調査」

利用している児童生徒数そのものも、校種によって伸び方が異なります。

小学校は16万人台まで積み上がって伸びが緩やかになりつつある一方、中学校・高校はまだ伸び盛りの段階にあります。

中学・高校で支援が薄くなるのは事実ですが、増え方を見るかぎり、状況は動いている途中です。

通級による指導を受けている児童生徒数の推移(校種別)

単位:人

出典:文部科学省「通級による指導実施状況調査」各年度版(国公私立計)

通級指導・特別支援学級・特別支援学校の違い

似た言葉が並ぶため混同されがちですが、対象となる程度と学習の場が異なります。

制度在籍する場所対象の目安
通級指導教室通常の学級通常学級の学習におおむね参加できる子
特別支援学級特別支援学級(一部交流学級に合流)中程度の支援が必要な子
特別支援学校特別支援学校より手厚い専門的な教育課程が必要な子

3つのなかで、通級指導はいちばん「今の生活を変えずに済む」選択肢です。在籍するクラスは通常の学級のままなので、友だち関係も担任も変わりません。

通級指導教室は小・中・高等学校すべてに制度がありますが、特別支援学級は小中学校のみで、高校には制度自体がありません。

高校段階で特別な支援が必要になったときに残る制度は、通級指導教室のほうです。

なお近年は、特別支援学校と小中高のいずれかを一体的に運営し、障害の有無にかかわらず交流や共同学習を進める「インクルーシブな学校運営モデル事業」も始まっています。

文部科学省が2024年度(令和6年度)から3年計画で実施しているものです。

対象となる特別支援学校と小中高校を「学校運営連携校」に指定し、3つのパターンで一体的な運営を試みています。

分校・分教室などの形をとる「一体型」、同じ敷地内に学校を並べる「併設型」、近接する学校同士が連携する「隣接型」です。

学校運営連携校では、校長や一部教員を兼務させる運用も進められているとされます。

教育課程をコーディネートする「カリキュラム・マネージャー」の配置や、学校間の「連携協議会」設置もあわせて行われています。

初年度の2024年度は全国10地域でスタートし、2025年度以降は新規3地域を加えた13地域に拡大しました。

学びの場をどちらかに決めきるのではなく、行き来しやすくする。そういう方向の取り組みも並行して進んでいます。

制度の詳細は、文部科学省のインクルーシブな学校運営モデル事業のページにあります。

相談は「申し込み制」、まず教育委員会へ

就学相談は、健診のように自動で案内が届く仕組みではありません。保護者が自分で申し込む形になっています。

気づいているのに何も案内が来ない、というのはよくあることで、順番待ちに乗り遅れているわけではありません。

一般的な流れは、保護者による申し込みから始まり、面談、必要に応じた発達検査、通級や特別支援学級の見学・体験を経て、専門家による審議を経たうえで就学先が決まります。

まず動くならここから

在籍校の担任、または居住する市区町村の教育委員会の教育相談窓口が最初の入口になります。手続きの呼び方や流れは自治体によって多少異なるため、「就学相談 [お住まいの市区町村名]」で検索するか、教育委員会の代表番号にかけて「就学相談の窓口を教えてください」と伝えれば案内してもらえます。この電話の時点で、子どもの状況を細かく説明する必要はありません。就学先がどのような手続きで決まっていくかは、文部科学省の「障害のある子供の就学先決定について」のページに制度の詳細があります。

学校を選ぶ段階であれば、通級指導教室の設置状況や、特別支援教育を担当する教員の配置状況は、学校見学のときに直接聞けます。ここが分かっていると、入学後のミスマッチが減ります。

まとめ

  • 仕組み:通常学級に在籍したまま、一部の時間だけ特別な指導を受ける
  • 利用者:2023年度に203,376人。初めて20万人を超えた
  • 校種の差:実施校は公立小77.5%、公立中50.8%、公立高12.1%
  • 高校では:特別支援学級は無いので、通級が実質の選択肢
  • 相談:自動案内はなく、保護者からの申し込み制

次にやること — 市区町村の教育委員会に電話して、「就学相談の窓口を教えてください」とだけ伝えてみてください。状況の説明はそのあとで大丈夫です。まず窓口の名前と担当者にたどり着けば、次に何を用意すればいいかは向こうから教えてもらえます。

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