私立高校の内申基準、単願にすると何点下がる?首都圏230校を突き合わせたら1点だった
「単願なら内申が足りなくても大丈夫」と言われて、本当かどうか判断できない中学生・保護者へ。首都圏の私立高校230校の出願基準を集計しました。同じ学校・同じコースで単願と併願を比べると、5科の差は中央値1点。コースを変えたときの差のほうが大きいことも分かりました。
「単願にすれば、内申が足りなくても出願できる」。
塾でも面談でも、そう聞くことがあります。ただ、何点ぶん下がるのかまでは誰も言いません。
5科で2点なのか、3点なのか。それが分からないと、単願に切り替えるかどうかは決められない。
Eduriaは首都圏の私立高校の推薦・優遇入試の出願基準を、学校ごとに台帳に取り込んでいます。そこから数字を突き合わせました。
対象は私立高校230校、2026年度入試の512区分です。
5科の基準は、まん中が20点
まず全体を見ます。5科(国語・数学・英語・理科・社会)の合計で示された基準923件の分布です。
5科の内申基準(満点25点)の位置
いちばん多いのは20点で147件。25点満点なので、5教科すべて4がまん中の目安になります。
単位:点
いちばん低い基準
下から4分の1の位置
まん中(中央値)
上から4分の1の位置
いちばん高い基準
※出典: Eduria調べ。『首都圏 高校受験案内 2027年度用』(晶文社)・『首都圏 私立高校 推薦・優遇入試ガイド 2027年度用』(晶文社)から採録した2026年度入試の出願基準512区分のうち、5科で示された923件(2026年8月26日時点)。満点を超える値は採録ミスとして除いています(3科4件・5科2件・9科6件)。
25点満点で20点。5教科がすべて4なら届く、という高さです。
低いほうは11点、高いほうは25点まであります。学校とコースによって14点の幅がある、ということになります。
単願と併願の差は、5科で1点
ここからが本題です。
単願と併願を単純に比べると、5科の中央値は単願19点・併願20点。
ただし、この比べ方には穴があります。単願の区分を持つ学校と、併願の区分を持つ学校の顔ぶれが同じとは限りません。
そこで、同じ学校の同じコースで、単願と併願の両方に基準がある組み合わせだけを取り出しました。5科で231組あります。
同じ学校・同じコースで、併願が単願より何点高いか(5科・231組)
149組がちょうど1点差。単願にしても、下がるのは1点です。
単位:組
1点高い
同じ
2点以上高い
併願のほうが低い
※出典: 同上。単願・専願・第1志望・A推薦を単願、区分名または注記に「併願」を含むものを併願として突き合わせ、同じ区分種別に複数行あるときは基準が低いほうを採用。
中央値は1点。231組のうち149組が、ちょうど1点差でした。
33組は単願と併願で基準が同じです。逆に併願のほうが低かった組み合わせも5組あります。
9科で比べると差は少し広がって、中央値2点。137組のうち124組で併願のほうが高く、逆転は0組でした。
単願に切り替えて下がるのは、5科で1点。内申が2点足りない状態から、単願にすることだけで届くケースは多くありません。
コースを1つ下げると、3点変わる
同じ学校でも、コースによって基準は変わります。コース名に入っている言葉で分けて、5科の基準を集計しました。
コース名べつの5科の基準(中央値)
進学コースと特進・選抜コースのあいだに3点の差があります。
単位:点
選抜(91件)
特進(133件)
進学(251件)
総合(13件)
※出典: 同上。コース名に「選抜」「特進」「進学」「総合」のいずれかを含む基準を、この順で先に当たった語に数えています(「特進選抜」は選抜として集計)。カッコ内は集計件数。呼び方は学校ごとに違うため、同じ名前でも位置づけは揃いません。
単願にすることで下がるのが1点。コースを1つ下げると3点。
内申を軸に出願先を組み替えるなら、単願か併願かより、どのコースで出すかのほうが効きます。
コース名の呼び方は学校ごとに違います。同じ「特進」でも、その学校で上から何番目のコースなのかは要項を見ないと分かりません。
点数が届いても、それだけでは出願できない
基準の数字だけを見て安心できないところがあります。
出願基準のテキストがある333校のうち、212校が「9科に1不可」「5科に2不可」のような条件を付けています。
合計点が足りていても、1つでも1や2があると出願できない、という書き方です。
一方で、206校には加点の仕組みがあります。
検定の級で、基準そのものが下がる学校がある
「条件により内申加点あり」と書いている学校が206校あります。ただし加点の中身までは要項に書かれていないことが多く、条件は学校ごとにばらばらです。
一方、検定に触れている学校は53校あり、こちらは基準の数字そのものが動きます。駒澤大学高等学校の出願資格は5科21かつ9科38ですが、英語検定準2級を持っていると5科20に下がります。麹町学園女子高等学校の英語型は、英語検定準2級が出願資格そのものになっています。
単願に切り替えて下がるのが1点。検定でも1点。基準まで1点足りない状態なら、まず検定と加点の条件を個別相談で確かめる価値があります。
内申点そのものの計算方法は都道府県で違います。自分の地域の数え方は内申点の計算方法が都道府県で違う理由で整理しています。
基準は「出願できる」ラインで、合格ラインではない
ここまでの数字は、出願を受け付けてもらえる下限です。合格を約束するものではありません。
推薦や併願優遇では、基準を満たしていれば実質的にほぼ通る学校もあります。
一方、基準を満たした受験生どうしが当日の点数を競う学校もあります。
どちらのタイプかは、要項の文面よりも、個別相談で聞いたほうが早く分かります。
学校ごとの出願基準は、Eduriaの学校ページの「入試データ」に区分べつに出しています。
地域から探すなら東京都の高校一覧、学力帯からなら偏差値50〜54の高校から入れます。
まとめ
- 5科の基準はまん中が20点:230校・923件の集計。範囲は11〜25点
- 単願と併願の差は1点:同じ学校・同じコースの231組で中央値1点、149組がちょうど1点差
- 9科なら2点:137組で中央値2点、併願のほうが低い組は0
- コースを下げると3点:進学コース18点に対し、特進・選抜は21点
- 点数だけでは決まらない:333校中212校が「1不可」等の条件、206校が加点の仕組みを持つ
次にやること — 志望校の個別相談で、「加点の対象と点数」を紙で見せてもらってください。1点足りない状態がひっくり返るのは、たいていここです。
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